残酷

ある生者と、それを見ている死神Navyの話。

「命は皆平等で大切だ、そうは思わないですか」

その青年は合コンで生命について熱く語る。

「はあ…」

周囲はどう反応していいか分からず、ただ呆気に取られている。

「今、こうしている間にもたくさんの捨て犬や捨て猫が保健所で処分されているんだ。可哀相だと思わないか?」

酒も入ってきて青年は更にヒートアップし始める。

「増えるのが困るなら去勢手術なりなんなりしろって話だよ。ネットでも色々呼びかけているのを時々見るけど、写真見ると心が痛むぜ、本当に…」

死神、Navyはそんな青年を何処か冷めた目で見つめている。
合コンはやがてお開きになり、青年はじゃあなと笑って車の運転席に乗り込む。

「命を語る青年が飲酒運転…か。心が痛むねぇ」

死神は嫌悪の表情を浮かべ、皮肉な言葉を口にした。

「今、青年が運転してる間にもたくさんの蟻が彼の車に轢かれているんだ。可哀相だと思わないか?」

車はふらふらと蛇行運転を始める。

「命は大切だと言うその思想には好感が持てるのは確かだが…ね。平等と言うなら何故蟻を踏みつぶしても心が痛まないのか俺には不思議でしょうがないよ」

死神は肩をすくめる。

「ああ、それになにより命は大切だと言う奴に限って自分の命は大切にしないのだな」

キキィー!!ガッシャアアアアアアアアアアアアアアンッ!!

「命の大切さ云々より、飲酒運転は駄目絶対と自動車学校で教わらなかったのかね、若者よ」

そして青年はバラバラになった。


END.


06/09 18:04

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