クロスカウンター

目には目を、歯には歯を。
拳には拳を。

「ハムラビ法典」という言葉を一度位は聞いたことがあるだろう。
【目には目を、歯には歯を】で知られるバビロニアの王ハムラビ(ハンムラビ)が発布した法典である。

ある二人のプロボクサーがいた。
その二人は極端に仲が悪かった。
顔を合わせれば睨みあい、罵りあい、いがみ合っていた。
見かねた友人達は、二人が仲良くなるようにと、仲が悪い二人を飲み会へと誘った。

案の定、というか。
二人は顔を合わせるや否や、口汚く罵り合い始める。
友人達は仲の悪い二人を何とか落ち着かせ、飲み会だから乾杯しよう!と提案した。
ビールの入ったジョッキを握る。
「それでは」の言葉の後に訪れる、数秒間の沈黙と緊張した空気。

「乾杯」

の瞬間、大音響が響き渡った。
何が、起きた?
呆気に取られる人々。
床に零れ散るビールとジョッキの破片。
倒れる二人のプロボクサー。
そこでようやく何が起きたのか理解した。
クロスカウンター。
両者が正対しているとき、相手の打撃に相前後して相手の顔面に打撃を加えるものである。
両者の腕が交差することになるため、この名がついたとされる。
成功すればダメージが大きい(相手の打撃力を使える為)が、タイミングが合わなければ失敗するリスクも高い。
仲の悪い二人は、ジョッキを持ったまま同時にクロスカウンターを繰り出したのだ。
さながら地獄絵図のようだった。
すぐに救急車が呼ばれたが、なにしろジョッキが割れる勢いで思い切り殴りあったのだ。
治療の甲斐なく仲の悪い二人のプロボクサーは死んでしまった。

「君達は本当に不思議な人間だな」

死神Navyはもの珍しい顔をして二人のプロボクサーを見つめる。

「死んでから仲良くなるなんてね…」

そこには、仲良く腕を組んで笑いあう死者達がいた。

「なかなかやるじゃねぇか」

とお互いの目が訴えていた。

END.


07/30 17:57

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