祈り

その部屋は異様な雰囲気に包まれていた。
20人ほどの団体が、何か呪文のようなものを唱えながら手を合わせて祈っていた。
その部屋は異様な雰囲気が漂っていた。
20人ほどの団体の真ん中には、死体が1つ、無造作に転がっていた。
団体を見つめながら死神、Navy(ネイビー)は呟く。

「祈りで死者は生き返らない」

Navy(ネイビー)の言葉など聞こえない。
宗教団体はなりふり構わず、儀式を続けていた。

「彼らには聞こえないよ」

死者は、Navy(ネイビー)に言った。

「君は…誰だ?」

「僕も、その宗教団体の一員だったよ。 僕の体は今、真ん中で死体に成り果てているよ」

Navy(ネイビー)はようやく理解すると、ゆっくり頷いた。
死者は呟いた。

「祈りで死者は生き返らないと頭では分かっていても、彼らは信じているんだろうね。 死んだ人間が生き返る、という奇跡を」

死者は自嘲した。
Navy(ネイビー)はそんな死者に尋ねた。

「君も自分が死ぬまでは信じていたんだろう? 奇跡を」

「ああ、そうだね。 でも、死んだ瞬間分かった。 知識や経験とは違う、感覚的なものだったよ。 『死者は生き返らない』と感じたよ」

「人が集まると、大きな力になる。 だが、間違った方に行くと…」

Navy(ネイビー)はそこで言葉を切った。
死者はNavy(ネイビー)を見つめながら、呟いた。

「集団の間違った思い込みは、時に恐ろしくもある。 彼らはいずれ捕まるだろうね。 法を犯した、という罪で」

その部屋は未だに異様な雰囲気に包まれていた。

END.


01/20 10:29

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