小説

Morning.

*この物語はフィクションです。

【ピピピピピピピ…】
けたたましい電子音。
寝惚けた眼を擦りながら慌てて目覚ましを止める。
「過去の夢、か。」
フッと溜め息をつく。
手早く服を着替え、事務所に向かう。

「うぃす。」
事務所のドアを開ける。
「「おお!珍しく早い。」」
お前らは双子か!とツッコミたくなる程の絶妙なタイミングでユウとマサが言う。
「当たり前だ。
目覚まし掛けてたからな。」
誇らしげに胸を張る。
「いやいやいや、普通目覚まし掛けて起きるもんだから。」
マサがビシッと俺の脳天にチョップを喰らわす。
「今日の依頼はあるかい?」
俺はユウ姉さんに尋ねる。
「張り切ってる所悪いんだけど、依頼は無いわよ。」
ユウはそう言うと、台所に入って紅茶を淹れる準備をした。


08/11 12:09

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探偵事務所

*この物語はフィクションです。

悲しい夢を見る事が多くなった。
目が覚めた時はいつも記憶に無いが。
哀しい夢を見る事が多くなった。
いつも涙を流しながら目が覚める。
この訴えかける様な夢は、何?

やがて俺は退院し、様々な所でバイトして、貯金し、探偵事務所を設立した。
何故、探偵になったのか?
それは…

「ねぇ、前々から思っていたんだけどさ。
どうして君は探偵になったんだ?」
ある晴れた日のマサの質問。
「探している人がいる。」
それは記憶喪失になる前の自分の事。
「俺には記憶が無い。
だからね、記憶がなくなる前の自分を探しているんだ。」
本当は少し怖い。
記憶を取り戻した瞬間、俺が俺でなくなってしまうような気がして。


08/11 02:16

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Sister.

*この物語はフィクションです。

自分は何故記憶喪失になったのだろう。
記憶喪失になる前の自分はどういう性格をしていたのだろう。
グルグルと思考を巡らせながら、病院の屋上で青い空を眺めている。
「あ、やっぱココにいた。」
ふと、背後から声が聞こえる。
「ユウお姉さん。」
俺は振り向いて、呼び慣れぬ姉の名を呼ぶ。
「もう、そんなに他人行儀にならなくてもいいじゃない。」
ユウはプッと頬を膨らませる。
「いや、しかし他に呼び名が思い付かなくて…」
しどろもどろになりながら、慌てて言う。
「ユウって呼び捨てで良いわ。
記憶喪失になる前は呼び捨てだったわよ。」
「呼び捨てはちょっと無理ですって。」
「そう?」
「あの、じゃあ、ユウ姉さんって言うのはどうですか?」
「いいわね。もっかい言ってみて。」
ユウ姉さんは綺麗に笑う。
思わず見とれながら、言う。
「ユウ、姉さん。」
「ん。」
ユウ姉さんは優しく微笑んだ。


08/10 23:39

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何も知らない

*この物語はフィクションです。

俺は腹部を刺されて高い崖の上から落ちたらしい。
意識を失って海で漂っている所を発見され、病院に運ばれた。
生死の境をさまよっていたのだ。
「俺の名前は我妻 鏡嘩、か。」
入院生活で大分歩けるようになった俺は、病院の屋上で紙パックのレモンティーを飲みながら呟いた。
自分の名前すら思い出せない俺は、勿論自分の名前の由来すら知らない。
姉であるユウに訊けばいいのだろうが、何となく訊きづらい。
正直、実の姉だと言われていても、記憶喪失故に姉だという実感が全く無いのだ。


08/10 21:56

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失われた記憶

*この物語はフィクションです。

見知らぬ女性は俺が寝ているベッドに近付くと、涙目で俺の顔を見つめている。
困った。
記憶が無い。
「あの、すみません。」
俺はおずおずと女性に声を掛ける。
「キョウ、どうしたの?」
女性はさっきから親しげに俺をキョウと呼ぶ。
「俺は。俺の名前はキョウって言うんですか?」
俺の言葉を聞いて、女性は困惑した表情を浮かべていたが、恐る恐る俺に問う。
「まさか、記憶が…」
「ごめんなさい。
実は自分の名前すら思い出せないんです。」
見知らぬ女性はしばらく硬直していたが、フッと我に帰ると、慌てて医者を呼びに病室を出て行く。
記憶喪失。
どうやら俺はエピソード記憶を無くしたらしい。
見知らぬ女性は俺の実の姉で、ユウという名前だった。
そして俺の名前は我妻 鏡嘩だと告げられた。


08/10 15:57

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Innocent white.

*この物語はフィクションです。

久々に過去の夢を見た。
記憶を失った直後の話だ。

身体が、痛い。
誰かに踏み潰された様な全身の痛み。
そっと目を開ける。
ぼやけた視界はやがて鮮明になり、一番初めに見た景色は。
純白。
すぅ、と息を吸い込む。
薬品の微かな刺激臭が漂っている。
少し顔を動かしてみると、僅かに開いた窓と、白いカーテンがはためいている。
【ピッ、ピッ、ピッ、ピッ】
この場所にそぐわない電子音。
どうやら心臓の動きを計測する機械のようだ。
他には腕に点滴がされている。
五感で得た状況を並べて推理すると、どうやら此処は病院らしかった。
しかし、何故こういう状況になったのかが分からない。
首を捻っていると、病室の扉がゆっくりと開く。
入って来たのは女性。
「キョウ、無事だったのね。」
俺に対して話掛けた。


08/10 13:49

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堕ちた男

*この物語はフィクションです。

「首を切られた。だから、俺は首を切った。」
「どういう意味だ?」
男は淡々と語り出す。
「俺はな、元は凄腕のサラリーマンだった。
将来は社長にまでなれると言われていたんだよ。
しかし、そんな俺に敵意を持った奴が、俺を罠にはめたんだ。
俺はセクハラ社員と噂され、無理矢理退職させられた。
首を切られたんだ。」
「なるほど。確かに『首切り』という言葉にはそういった意味が含まれているな。」
俺は頷く。
「だからな、俺は復讐してやった。
一番初めはあの馬鹿上司の首を切ってやったよ。」
男は乾いた笑いを響かせる。
「そうしたらさぁ。
楽しくなったんだよ。
人の首が飛ぶ様が面白くてなぁ。
それから、色んな場所で色んな人の首を切りたいと思ったんだよ。」
ゾッと鳥肌が立った。
男は実に愉しそうに笑っているのだ。
「怨恨から愉快犯、か。
意外だったな。」
俺は男を見つめながら言う。
「「狂ってる…」」
ユウとマサは同時に呟いた。

そうして、首切り殺人事件は幕を閉じたのだった。


08/09 23:38

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世界を憎む

*この物語はフィクションです。

男はただひたすら逃げ続ける。
しかし、足は遅く、すぐに追いつく。
北川が男の腕を掴む。
「大人しくしろオラァ!」
「放せよ!」
男はなおも抵抗する。
「殺人未遂の現行犯で緊急逮捕します。」
上村は落ち着いた口調で言うと、男の腕に手錠を掛ける。
「ちっ、」
男はようやく観念したらしく、手錠を掛けられた瞬間、大人しくなる。
「ひとつ、訊きたい。」
マサは男に言う。
「何だ。」
「何故ユウを狙ったんだ。」
「ユウ?誰の事だ。」
「とぼけるなよ。お前が数学時間前に殺そうとした奴だ。」
「ああ、そこにいる女か。」
男は無関心そうな顔で言う。
「別に、理由なんか無い。」
「理由なんか無い、だと?」
「そうさ。俺は憎んでいる。この世界を。この社会を。」


08/09 23:14

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逃走

*この物語はフィクションです。

「まぁ、ついて来てしまったのはしょうがないですね。
行きましょう。」
上村は言う。

そこは、何処にでもあるアパートだった。
北川が呼び鈴を押してみる。
静かに扉が開く。
出てきたのは間違い無くユウを狙ったサラリーマンの男だった。
男は、何も言わない。
上村と北川は警察手帳を取り出すと、
「すみません。私、兵庫県警の上村と申しますが、少々話を聞きたいのですが。」
と言った。
男は手帳を見た瞬間、表情を固くしたかと思うと、上村と北川を突き飛ばし、俺とユウとマサの間をすり抜けて逃げ出す。
「チッ、くそ。」
当たり前だ。警察手帳なんかをちらつかせたら、怯えて逃走するに決まっている。
そんな基本も知らない警官2人に内心イラッとしながら、俺は男の後を追う。
他の皆も後を追った。


08/09 18:47

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合流

*この物語はフィクションです。

陸運事務所から出てきた俺とマサとユウの3人は、車のナンバーから持ち主の住所や氏名を知った。
「ふむ、思っていたより近くに住んでいたんだな。」
書かれている住所へと向かっている。
「ところでさ、何でこんな事件を起こしてるんだろう。」
マサは問う。
「動機、か。」
「愉快犯、もしくは通り魔かな。」
「分からん。
怨恨ではなさそうだ。」
「とにかく、行ってみなきゃ分からないわ。」
ユウがそう結論づけて会話は終了する。
目的地付近には上村と北川がいた。
「お前らいつの間に。」
北川がギョッとしている。
「あれほど来るなと言ったんですが。尾行でもして来たのですか?」
上村が訊く。
「いや、事務所で説明したあのテクニックを使って住所を調べた。
だって調べるなとは言われなかったからね。」
俺は悪戯っ子の様にニッと笑う。
「貴方という人は…」
上村は呆れ顔だ。


08/09 11:12

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