「Navy」

境界線B

*この物語はフィクションです。

「そもそも死というものは、鼓動と呼吸の停止、又は生命活動が不可逆的に止まる事で、死んだものとする見方が一般的であるが、
それは所詮、生きている人間が定義したものに過ぎない。
つまり、肉体を持たない我々の視点では、生物学的における死よりも、宗教学的視点で見た方がつじつまが合う。
宗教学的視点では、死というものは肉体の消滅だけで、霊魂は生きてるとする考え方が多い。
我々の視点で見ると、死と生の境界線というものは曖昧なのだよ。」
死神Navy(ネイビー)は言った。
「これから私はどうすればいいのかしら?」
「さぁ、どうしたい?」
「思い浮かばないわ。」
「なら、生まれ変わってもう一度人間として生きてみるといい。」
「そうね。そうするわ。」
女性は微笑し、死神もつられて微笑った。

END.




10/19 08:01

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境界線A

*この物語はフィクションです。

「つまり、私は死んだのね?」
彼女は死神に訊く。
「一応、そういう事になるね。」
黒い特攻服姿の死神、Navy(ネイビー)は頷く。
「不思議ね…何だか生きてる時と変わらないわね。」
「そうだね。この世界は生者と死者が同時に存在する世界だからね。」
「どうして生きてる時は死者が見えないのかしら?」
「場所は同じでも、次元が違うのだよ。
生者が存在する次元は低位次元であり、死者が存在する次元は上位次元。
上位次元から低位次元を見る事は容易なのだよ。
しかし、次元を超えた交流…例えば会話などは不可能では無いのだが、多大な困難を伴うのだよ。
ラジオを聞くには周波数を合わせる必要があるのと似ているね。」
「ややこしいのね。」
「そうだね。
そもそも、生と死の境界線というモノは本来は存在しないのだよ。」
「えっ?」




10/18 15:00

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青い海に浮かぶ、白い綿菓子について

*この物語はフィクションです。

「そういえばあの白い野良猫、元気にしているだろうか。」
青い空に浮かぶ白い雲を見つめながら、死神Navy(ネイビー)は呟く。
「案外、元気なんじゃない?」
Rarry(ラリー)も白い雲を見つめながら、呟く。
「だといいけど。」
Navy(ネイビー)は微笑った。
「子供の頃、白い雲が綿菓子に見えたりしなかった?」
Rarry(ラリー)はNavy(ネイビー)に訊く。
「あったあった。
何かお腹減った時に見ると、甘くて凄く美味しそうに見えたりして。」
「届かないって分かってる癖に、手を伸ばしたりして。」
Rarry(ラリー)とNavy(ネイビー)は同時にアハハと笑った。
「こういう思考回路してるのは子供の時だけだよね。」
Rarry(ラリー)はボソッと言う。
「それは多分、何も知らない純粋な心を持ってたからだと思うね。
純粋だからこそ、夢が持てる。」
Navy(ネイビー)は何処か寂しそうな表情で答える。
「いつの間に夢を持てなくなったんだろう?」
「さぁね。それすら忘れてしまう程、昔の事だったと思うね。」
Rarry(ラリー)とNavy(ネイビー)は、いつまでも青い空と白い雲を見ていた。

END.




10/13 07:27

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ソラシド. 7

*この物語はフィクションです。

死神は優しく微笑い、
「じゃあ、最後に訊いてもいいですか?」
と眼鏡の男に訊く。
「うん?」
眼鏡の男はポカンとした顔で返事をする。
「娘さんの名前は?」
男は死神の質問を聞くと、笑顔で答えた。
「青山 美空!」

あの日の空は綺麗だった。
蒼いソラが綺麗だった。
何より大事で 何より大切
守ってやりたいと そう思った。
君の名前に 君にこの言葉を送ろう
ドレミファソラシド
唄うように君を祝福しよう
ドレミファソラシド
ドレミファソラシド
君の名前は
美しい、空。
美空、ミソラ。
あの日の君は誰よりも綺麗だった。

END.




10/12 11:08

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ソラシド. 6

*この物語はフィクションです。

「さて、これから貴方はどうしますか?
成仏して生まれ変わりますか?
それとも、この世界に留まりますか?」
死神Navy(ネイビー)は眼鏡の男に訊く。
「そうだなぁ…」
男は少し、考えた後、
「娘の守護霊にでもなろうかな、なんつって。」
何処か頼りない笑顔を浮かべて言った。
「なるほど。その選択もアリですね。」
死神Navy(ネイビー)はその手があったかという表情をする。
「え、アリなの?」
「アリですね。」




10/12 09:59

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ソラシド. 5

*この物語はフィクションです。

「でもね、俺は後悔なんてしてないよ。」
眼鏡の男はズレた眼鏡を直すと、真顔で言い放つ。
「自分が不幸だとも思わない。」
「それは何故?」
死神Navy(ネイビー)は呟くように問う。
「だって、そうだろう?
妻と…娘の為なら俺はピエロにだってなれる。
娘が生まれたのを見たから尚更かな、命が大切だと思ったんだ。
命の大切さを知ったんだ。
たかが猫だと思うかもしれない。
猫の為に死んだなんて馬鹿馬鹿しいと笑うかもしれない。
それでも俺は咄嗟に、その猫を救いたくて飛び出したんだ。」




10/12 09:32

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ソラシド. 4

*この物語はフィクションです。

「で、何で死んだのですか?」
死神Navy(ネイビー)は短刀直入に眼鏡の男に問う。
「いやぁ、それが実は…」
眼鏡がズレたまま、男はポリポリと頭を掻いた。
「娘と対面して、病院から歩いて帰る途中、車にひかれちゃったみたい?」
「『みたい?』って何で疑問形なんですか…」
「よく覚えてないんだけど。
白い野良猫が車道に飛び出した所に、丁度自動車が突っ込んで来て、俺は無我夢中で野良猫助けようとダイブして、見事に車にひかれてポクポクチーン…みたいな?」
眼鏡の男はアハハと情けなさ120%で笑った。
「アンタ何やってんですか…」
死神は弱々しくツッコんだ。




10/11 17:20

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ソラシド. 3

*この物語はフィクションです。

「もうね、アレだね。
初めて娘を見た時、バケットの中で静かに眠っててね…
本当に小さな小さな姿はすぐに視界が滲んで見えなくなったんだ。
感動だね。もう、感無量。
隣には妻が横になってて、俺の泣き顔を見て大爆笑。
俺は必死になって涙を拭いたんだ。
今日、俺はかけがえのない宝物を手に入れたんだ。
俺と、愛する妻の血を引いてこの世に生まれた大切な存在。
家宝だよ、家宝!!」
男は眼鏡がずり落ちるのも気にせず、延々と喋り続ける。
「はぁ…」
死神は呆れ顔で返事する。




10/11 16:55

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ソラシド. 2

*この物語はフィクションです。

「今日という日を一生忘れない。忘れたくないよ!」
眼鏡の男は涙目で死神に訴える。
死神はげんなりした顔で男に訊く。
「今日、何かあったんですか?」
よくぞ訊いてくれたとばかりに男は言った。
「産まれたんだよ〜!
今日、俺の娘が生まれたんだよ!
もう俺の人生の中で最も素晴らしい日だった。
これ以上の事が、これから先、果たしてあり得ると思うかい?」
「…おめでとうございます。」
死神Navy(ネイビー)は淡々とした口調で祝福した。




10/11 16:28

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ソラシド. 1

*この物語はフィクションです。

嗚呼!
誰が何と言おうが、俺は今死んでも幸せだと声を大にして言いたい。
「君はもう既に死んでるのだが。」
黒い特攻服姿の死神、Navy(ネイビー)は、困ったように後ろ頭を掻いた。
「そんな事は分かってるんだよ。
大事なのはハートだ!心だよ!!」
眼鏡を掛けたヒョロ長い男は、訳の分からない事を口走り、Navy(ネイビー)の肩をひっつかむと、ガタガタと揺さぶる。
「我が人生に悔い無しなんだよ!」
「…意味が分かりません。」
Navy(ネイビー)はされるがまま、げんなりした顔でツッコんだ。
「も少し分かりやすく説明して下さいよ。」
黒い特攻服姿の奇妙な死神は眼鏡のヒョロ長い男に言った。




10/10 19:09

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