「Navy」

フルーツ・フィールド

*この物語はフィクションです。

何処か懐かしい、甘い果物の香りがする。
例えて言うならばジャムのような甘酸っぱい匂い。
「うん、美味い。」
部屋一杯に広がった匂いを、身体に詰め込むように息を吸い、ゆっくりした動作で白いカップに入った紅茶を一口飲むと、黒い特攻服姿の奇妙な死神は言った。
「今日の紅茶は『フルーツ・フィールド』って言うのよ。」
死者、Tia(ティア)は、ニッコリと微笑んだ。
「この甘酸っぱい匂い…
おそらく苺の匂いかな?」
死神、Navy(ネイビー)は首をかしげながら、Tia(ティア)に尋ねる。
「あらそう?私はピーチとパインとオレンジがミックスされたような匂いだなーって思ったけど?」
Tia(ティア)はカップの中の赤茶色い液体を見つめて言った。
「ふむ、言われてみれば確かにそんな匂いがするね。
流石、紅茶マニアだ。」
「もう!それって褒めてるつもり?」
Tia(ティア)はアハハと笑う。
死神は紅茶を飲み干すと、
「ご馳走様でした。」
とニッコリ微笑み立ち上がった。
「また来てね。」
とTia(ティア)が言うと、死神は
「もちろん。」
と言った。

END.


10/04 06:57

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青空まで後少し

「機嫌が悪そうだね。」
青年Rarry(ラリー)は幽霊が見える少女、Tail(テイル)に話しかける。
「悪い?」
Tail(テイル)はブーッとほっぺたを膨らませる。
Navy(ネイビー)はクスクスと微笑う。
「「変な顔。」」
Rarry(ラリー)とNavy(ネイビー)は同時に言った。
青空になるまで後少し。

END.




09/25 20:37

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You are liar. 2

*この物語はフィクションです。

「君こそ嘘をついているのではないのかな?」
死神は真っ直ぐ彼を見つめると、厳しい言葉を被せた。
「どういう事だ?」
俺は死神に訊く。
「君が本当になりたかったのはカメラマンなんかじゃない。
自分でも気付いていたのだろう?
君は本当は…」
「………。」
「死んでまで自分に嘘をつくのかい?
君はそれで満足なのかい?
君は本当は…」
「ああそうだよ!
俺は嘘つきだよ。
最初は写真を撮るのが楽しかった。
未熟でピンボケな写真でも、親父は褒めてくれた。
だけどやがて期待に応えようとかいう想いが大きくなりすぎて、押し潰されそうだったんだ。
俺は本当はカメラマンになりたかった訳じゃない。
小説家になりたかったんだ。」
「そうだね。
君の本当の気持ちは小説家だったんだ。」
「だけどそんな気持ちを隠している内に、俺は本当の自分を出せなくなった。
嘘で自分を塗り固め、本当の気持ちなど言わなくなった。
俺は死んでしまったから、もう夢を叶える事すら出来なくなったんだ。」
「君はこれからどうしたい?」
「決まってるさ。
もう未練も苦しみも周りの期待も無くなった。
すぐに生まれ変わって、小説家を目指すよ。」
「君は嘘つきだね。」
死神はクックと笑った。
「もう一度カメラマンを目指すつもりなんだろう?
周りの期待も重圧も無くなった新たな人生で、自由気ままなカメラマンに。」
死神は彼に言ったのだった。

END.


09/19 11:51

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You are liar. 1

*この物語はフィクションです。

父親は有名なカメラマンだった。
誰もが見とれてしまうような綺麗な風景写真を撮る事が出来た。
俺も有名なカメラマンになる為に、いつもカメラを持ち歩き、何百枚、何千枚、何万枚もの写真を撮り続けた。
だけど、親父のように誰もが見とれるような写真は一枚も撮れなかった。
そんなある日。
親父を超える為に、俺は山に登って最高の写真を撮ろうとした。
そして、足を滑らせた。
それから…
「君は足を滑らせ、頭を打って死んだのだよ。」
俺の背後から声が聞こえた。
驚いて振り向くと、黒い特攻服姿の奇妙な男がいる。
「お前は、誰、だ?」
かすれた声で俺は尋ねる。
「私は死を司る神、すなわち死神。
名はNavy(ネイビー)。
君は自分が死んだ事に気付いてないようだね。」
死神Navy(ネイビー)は微笑む。
「嘘だ!」
俺は叫んだ。


09/19 11:21

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Maria. 3

*この物語はフィクションです。

When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

And in my hour of darkness
She is standing right in front of me
Speaking words of wisdom
Let it be

Let it be, let it be
Let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

And when the broken hearted people
Living in the world agree
There will be an answer
Let it be

For though they may be parted
There is still a chance
That they will see
There will be an answer
let it be

苦しみ悩んでいる時には
聖母マリアが現れて
貴い(とうとい)言葉をかけてくださる
“すべて なすがままに”

暗闇が僕を取り囲む時
マリアは僕の目の前に立って
貴い言葉をかけてくださる
“すべて なすがままに”

“なすがままにまかせなさい
自然の流れに身を委ねるのです”
マリアは いつも優しく囁いてくれる
“すべて なすがままに”

傷付き 失意に生きる人々が
共に ひとつの世界に結ばれる時
道は必ず開けてゆく
それまでは“すべて なすがままに”

別れを告げる日が訪れても
いつかきっと 再び会える日がやって来る
その時 すべてが明らかになるだろう
それまでは“すべて なすがままに”
『Beatles,Let it beより』

彼は死神の歌を聴いて泣いていた。
そして
「ありがとう」
と言葉を残すと、白い光に包まれながら、すぅっと流星のように消えていった。

END.


09/18 11:23

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Maria. 2

*この物語はフィクションです。

「まだ分からないのかい?」
死神Navy(ネイビー)は彼の胸ぐらを掴むと、怒鳴った。
「君と同じ境遇のその人は、私達の前では弱音や愚痴ひとつこぼさなかったのだぞ!?」
彼は雷に打たれたように、ビクリと身体を硬直させると、驚いた顔で死神を見つめていた。
「その人は君より強い心を持ってた。
その人は歌が好きだった。
確かBEATLES(ビートルズ)のLet It Be(レット・イット・ビー)という曲が好きだった。」
そして死神は優しく歌った。


09/18 11:10

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Maria. 1

*この物語はフィクションです。

死者は泣いていた。
「何故僕は死んだのだ」と泣き叫んだ。
享年21歳。
死因は、白血病だった。
希望があった筈だった。
夢を叶える筈だった。
病に苦しみ、のたうちまわる事もあった。
高熱、点滴、絶対安静。
無菌室という風景の変わらぬ部屋に入れられ、何本もの抗がん剤と輸血を射たれた。
腕は何本もの点滴のせいで、ボコボコに穴が開き、血行が悪く、赤黒い不気味な色に染まり、抗がん剤により、髪がゴソッと何本も抜け落ちた。
それでも彼は病気が治ると信じていた。
「私もね、君みたいな白血病の人を見た事があるんだ。」
死神Navy(ネイビー)は寂しそうな表情で彼に言う。
「その人は、私の親戚でね。
泣くのを見た事が無かった。
だけど、その親戚は泣かなかった訳じゃない。
一人で…誰も見ていない場所で泣いていたのだよ。」
「だから、何だって言うんだ!?」
彼は死神を睨み付ける。


09/18 10:39

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片想い 4

*この物語はフィクションです。

「わしが若い頃、好きな女の人がいた。」
おじいさんはポツリ、ポツリと語り始める。
「恋人ですか?それとも婚約者ですか?」
死神Navy(ネイビー)はおじいさんに訊く。
「いや、若い頃のわしは極度の人見知りでのぉ。
とてもその女の人に声を掛ける勇気なんてなかったよ。」
おじいさんはホッホと優しく微笑む。
「遠くから見つめるだけで満足じゃった。
片想いで良かったのじゃよ。」
おじいさんはフッと寂しそうな表情を浮かべた。
「では貴方は、その女の人に好きと伝える事無く、片想いを続けていたのですね?」
「いや、その片想いも長くは続かなかった。
わしが丁度20歳になった時、両親と共に海外へ引っ越す事になったんじゃ。
わしはその女の人の事を何も知らんかった。
住所や電話番号、名前すら知らんかったんじゃ。
離ればなれになってしまい、今はどうしているか全く分からない。
生きているのか、死んでいるのかさえ。
なぁ、死神さん。
もし、知っているなら教えてくれないじゃろうか?
彼女は幸せに暮らしているのかどうかを。」
おじいさんはそう言うと、ポロポロと涙をこぼしました。
「わしは後悔しておるのじゃよ。
何故、わしはあの時勇気を出して声を掛けんかったのじゃろうかと。
わしは…」
死神Navy(ネイビー)は
「彼女は幸せに暮らしていますよ。」
と優しくおじいさんに言いました。
するとおじいさんは、顔をクシャクシャにして、泣きながら笑った。
「ありがとう。」
おじいさんはそう言うと、すぅっと消えていきました。
死神は何故か泣いていた。
「本当は両想いだったのにね…」
と呟くと、ポロポロ、ポロポロと涙を流し続けたのだった。

END.


09/15 18:49

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片想い 3

*この物語はフィクションです。

新築一戸建ての和室の中。
そこには大勢の家族に見送られながら死んだおじいさんがいる。
「わしは死んでしまったのか。」
老人は、感慨深げに死神に問う。
「えぇ、貴方は老衰で亡くなったのですよ。」
「そうか。」
おじいさんはそれ以上は何も言う事無く、自分の死体と、泣き崩れる家族を見守っていた。
「貴方にはまだ未練があるのですね。」
「お主、よく分かったな。」
「だからこそ死神の私が此処に呼び出されたのですよ。」
「そうか。
すまないがちょっとわしの昔話を聞いてくれるかの?」
「えぇ、喜んでお聞きしますよ。」
死神Navy(ネイビー)は優しく微笑った。


09/15 18:25

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野性のネコはニャーと鳴く

*この物語はフィクションです。

月が、出ていた。
草木も眠る、丑三つ時。
夜色の特攻服姿の死神は、公園のブランコに座っている。
「ニャー。」
何処からか、猫の鳴き声が聞こえる。
やがてトットットッと軽い足取りで、猫が死神の前に現れた。
「ニャー。」
雪のように白い毛並みの、何処にでもいる野性の猫のようだ。
死神のNavy(ネイビー)の顔をじっと見つめている。
「ふむ、猫はこの世のものではないものも見えると言うが、どうやら本当みたいだね。」
死神Navy(ネイビー)は確認するように頷く。
シタッ。
猫は大きくジャンプすると、Navy(ネイビー)の頭の上に飛び乗った。
「…私の頭はコタツでは無いのだが。」
「ニャー。」
そんなもん知るか、とでも言うように、猫は頭の上でくつろいでいた。

END.


09/15 13:01

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