「Navy」

片想い 2

*この物語はフィクションです。

「私のお話し、聞いてくれるかしら?」
老婆は死神に恐る恐る声を掛ける。
「喜んでお聞きしますよ。」
死神は、ニッコリ笑った。
「私には昔、好きな男の人がいたの。」
老婆はゆっくりした口調で語り出す。
「恋人ですか?」
死神は訊きました。
「いいえ、違うわ。
その頃の私は臆病だから、その男の人とはお話しする勇気も無かったの。
私はその男の人に片想いしていたの。
だけど、それでも良かったの。
陰で見守るだけでも十分幸せだったの。
だけど…」
老婆の顔が悲しそうにサッと曇りました。
「私が丁度20歳の時に、その男の人は遠い所へ引っ越してしまったの。
住所なんて知らないし、勿論、電話番号も分からない。
今、どうしてるのか分からないの。
彼は元気にしてるかしら?」
老婆は寂しそうな笑顔で死神に尋ねました。
「えぇ、幸せに暮らしていますよ。」
すると、老婆は満面の笑みを浮かべ、
「ありがとう。
これで未練はなくなったわ。」
と言い、すぅっ、と消えていった。
何故か死神は泣いていた。
END.


09/15 12:41

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片想い 1

*この物語はフィクションです。

和室だった。
古くなってはいたが、それは畳のある和室だった。
畳の上には布団がひかれ、老婆が眠っている。
否、眠るように死んでいた。
老婆は自分の抜け殻を見つめながら、とうとう私は死んでしまったのねと感慨深げに呟く。
「そうです、貴女は老衰で亡くなったのですよ。」
老婆の目の前には、黒い特攻服姿の奇妙な男が佇んでいた。
「あなたは?」
老婆は不審そうな表情を浮かべ、男の正体を問う。
「失礼、私の名はNavy(ネイビー)。
死を司る神、すなわち死神です。」
老婆は男の正体が死神だと分かると、怯えた表情を浮かべる。
「死神、と言っても、無差別に地獄へ連れて行くような事は致しません。
私は死を司る神であって、悪魔では無い。
だから、そんなに怯えた表情をしないで下さい。」
死神は優しく微笑む。
老婆は安心して、ホッと息をつく。
「貴女には未練がありますね?」
死神は老婆に言うと、老婆は、
「何故知っているの?」
と言った。
「未練があるからこそ、私は此処に呼び出されたのですよ。」
死神は答えた。


09/15 12:23

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新聞記者とBlack・Joke. 2

*この物語はフィクションです。

「ふむ、それであなたは記事が書けなくなったのだね。」
死神Navy(ネイビー)は納得したように頷く。
「それで、新聞の記事になるようなネタを探しに車に乗って、気付いたらこのザマだ。
何か、切ねぇよなぁ…」
新聞記者は溜め息と共に、煙草の煙を吐き出す。
「人生なんてそんなものだと思うのだが。」
「だよなぁ。
どうせ俺が死んだって、新聞の片隅に記事になるだけだ。
新聞記者が新聞記事になるんだぜ。
笑えねぇブラック・ジョークだよ。
何か、意味ねぇよなぁ…」
「いや、意味の無いものなど存在しないよ。」
「そうだといいがなぁ…」
煙草の煙がゆらゆらと空に吸い込まれて行く。
Navy(ネイビー)と新聞記者の目の前では、連絡を受けた警察官と、救急隊員が慌ただしく交通事故の処理を始めていた。

END.




09/13 21:37

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新聞記者とBlack・Joke. 1

*この物語はフィクションです。


「一体これはどういう事なんだろうな?」
新聞記者の彼は首を捻る。
目の前には原型を留めていない車が転がっていた。
「落ち着いて状況を整理すっか。」
彼は新聞記者で、毎日様々なニュースを記事にしていた。
しかし、ここ最近この仕事に疑問を持つようになり、記事が書けないでいた。
「何故、君は新聞記者という仕事に疑問を持つようになったのかな?」
背後には黒い特攻服姿の死神がいる。
最初はなかなか信じられなかったが、どうやら本物らしい。
彼は死神の方をチラリと見ると、質問に答える。
「毎日毎日新聞に記者を書いてるけど、意味はあるのかなってたまに思うんだよ。
必死で記事を書いて、何度も何度も上司からボツ喰らってさぁ。
やっとOK貰って記事になって、新聞は発行されて、多くの人に読まれるけど。
一回読まれただけですぐに新聞は廃品回収にされちまうんだぜ?
何か、切ないよなぁ…」
新聞記者の彼は、溜め息をドッと吐き出すと、ポケットから煙草とライターを取り出して、煙草を吸い始める。

*誤字を発見orz
「毎日毎日新聞に記事を〜

「毎日毎日新聞に記者を〜
になっておりました。
訂正しようとしましたが、文字数が多いらしく、追記しか出来ない状況だったんで、ここでお詫び申し上げます。(土下座)
てか、誤字脱字の出現頻度で、私Juggler-Rの疲れや慌て具合が測れます。(オイ)
見つけたら誤字だ脱字だと大騒ぎせず、あなた様の想像力で文章を補ってやって下さいませ。


09/13 21:34

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ガラスの絵本

チッ、チッ、チッ、チッ、チッ…
時計は休む事なく動き続けている。
日本のマンションの一室。
時計はとある死体を見下ろしていた。
死体は静かにベッドに横たわっている。
その様子は何故か美しく、まるで白雪姫の様に眠っていた。
奇妙な事に、死体の周りには何も描かれていない白紙の本が一冊、開いたまま置かれている。
「私は物語の登場人物になれたのかな?」
死体と同じ顔の幽霊が、死体を見下ろしながら呟く。
幽霊は、自分の死体を見つめていた。
「さあね。」
黒い特攻服姿の奇妙な死神は、幽霊の呟きに答える。
「私はただ、貴方が死んだ理由を訊きたいんですよ。」
死神Navy(ネイビー)は、不機嫌そうに幽霊に言った。
「描けなくなったんだ。
私が自殺した理由はね、絵本が描けなくなったからなんだ。」
「抽象的過ぎて意味が分からないね。
死神にも分かるように説明してくれないかな?」
「絵本作家なんてそんなもんだよ。
私はね、もう絵本が描けなくなったから死んだんだ。」
「それだけの理由で?
馬鹿馬鹿しい。」
Navy(ネイビー)は嘲笑する。
「うん、それだけの理由で私は死んだんだ。
だって、絵本が描けない絵本作家なんていらない。
生きていても意味は無いよ。
白紙の絵本はガラスの絵本。
触れる事は出来るけど、読む事なんて出来やしない。
本というものは読めるからこそ価値があるんだ。」
「馬鹿馬鹿しい。
君は絵本の登場人物になんてなれやしない。
せいぜい…記者が新聞の片隅に笑い者として面白可笑しく記事に書くだけだろうね。」
死神は突き放すように言い放った。

END.


09/13 08:17

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(Navy)Blue? 4

*この物語はフィクションです。

自分という存在が消えるのが嫌だった。
他人という存在を消した下劣な人間のくせに。
死んだ後の世界ですら存在出来ないのは嫌だった。
他人の存在を奪った卑怯な人間のくせに。
だけど、消えるのが怖かった。
「そして俺は死神になったのだよ。
Navy(ネイビー)という名前をつけられて。」
Navy(ネイビー)はフッと微かに微笑うと、何処か遠い目をして、空を見上げる。
「君が特攻服姿なのは、もしかして。」
Rarry(ラリー)は言った。
「そう、死んだ時の姿そのままだったのだよ。」
Navy(ネイビー)はゆっくり頷いた。
「ねぇ、Navy(ネイビー)。
人って悲しいね。」
「そうだね。
人間には感情という訳の分からないものがあるから、様々な悲劇を生むのだね。」
「でも、だからこそ。」
Rarry(ラリー)はそこまで言って、沈黙する。
「どうしたのだ?」
Navy(ネイビー)は首をかしげる。
「何でも無いよ。」
Rarry(ラリー)は言って、空を見上げたのだった。

END.


09/11 21:54

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(Navy)Blue? 3

*この物語はフィクションです。

気付けば俺の目の前に、スーツ姿の死神がいた。
「初めまして。」
死神は無表情で言う。
「俺は死んだのか。」
「ああ。」
短いやりとり。
「あなたは誰ですか?」
「僕の名前はSift(シフト)。
魂の案内人。
人間は『死を司る神』、または『死神』と呼ぶね。」
スーツ姿の死神は、淡々とした口調で自己紹介をする。
不思議と違和感は無く、何故か俺はすんなりと死神の存在を信じた。
「さて、君が死んだのは…」
「他人(ひと)を一人、殺した。
その罪の重さに耐えきれなくて、俺は自分を殺した。」
Sift(シフト)の言葉を遮り、俺は言う。
「僕と同じ、大変稀なケースだね。」
「同じ?」
「うん、僕も他人を一人殺して、自殺した人間なんだ。」
「へぇ。」
「そういった人間は、魂すら消滅するしか無い。
ただひとつの方法を除いてはね。」
「消滅…!?」
「そう、生まれ変わる事も出来ないし、天国や地獄にも行けない。
幽霊になって永遠にさまよう事すら出来ないんだ。
君という存在は存在しなくなる。」
「そんな…」
「だけど、ただひとつの方法を選べば、君の存在は消されなくて済むんだ。」
スーツ姿の死神は、やはり無表情で言う。
「君は死神になれるかい?
冷酷で冷徹で誰よりも残酷な、冥府の神に。」


09/11 21:35

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(Navy)Blue? 2

*この物語はフィクションです。

俺は元・不良(ヤンキー)だった。
一人の女性を巡って、男と争った。
「彼女には、もう会わないでくれ。」
男から言われて何気ないひとこと。
頭にきて俺は思い切り男を突き飛ばした。
彼女の目の前で。
ゴツッ
と鈍い音がして、男はそのまま動かなくなった。
俺、青島 藍羅は怖くなって逃げた。
彼女を置いて。
「どうして…」
俺は卑怯な人間です。
俺は卑怯な人間です。
人間を一人殺しました。
人間を一人殺して逃げました。
俺は卑劣な不良です。
不良にすらなりきれない不良です。
痛む右足を押さえながら、着ている黒い特攻服を眺める。
「俺、は。」
人間を一人殺して、平気な顔をする人間にはなれない。
特攻服のポケットから、青い色の折りたたみ式のゴツいナイフを取り出す。
ザシュッ、ザシュッ。
二度、ナイフで腹部を突き刺す。
「がぁっ!」
鋭い痛みに、思わず声を上げる。
暖かい鮮血が飛び散った。
ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ。
気が狂いそうな痛みだが、止めたくはなかった。
血でナイフを持つ手がズルリと滑る。
それでも俺は手を緩める事なく、腹を切り裂いた。
そして俺は死んだ。


09/11 18:22

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(Navy)Blue? 1

*この物語はフィクションです。

誰も居ない螺旋階段から、話し声が聞こえる。
「前から訊きたかったけど、君は何故、死神になったの?」
Rarry(ラリー)は死神のNavy(ネイビー)に言う。
「なりたくてなった訳ではないのだが。」
黒い特攻服を着た死神は、困ったような表情を浮かべる。
「聞きたいか?」
「うん、気になるね。是非聞きたい。」
Rarry(ラリー)は頷いた。

―――それは、一瞬の出来事だった。
「はぁっ…はぁっ…」
Navy(ネイビー)は死神になる前は青島 藍羅(あおしま あいら)という名の青年だった。
青島 藍羅は人間を一人、殺して逃亡していた。
『警察は青島 藍羅を容疑者として捜査している模様です。』
ふと、街角の電気屋に置いてあるTVから、ニュースの音声が流れていた。
ニュースキャスターが、青島の名を告げている。
「違う。あれは事故だったんだ!」
青島はうめくと頭を抱える。
「突き飛ばしたら、動かなくなっただけなんだ。」
怖くなった。
だから逃げた。
街の片隅で、膝を抱えて震える。
「はっ…はぁっ…」
自分の呼吸音だけが煩く響いている。
警察官に追われた時、はずみで右足を骨折した。
鈍い痛みがじんじんと伝わってくる。
きっかけは、彼女を巡った争いから始まったのだ。


09/11 17:51

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白百合が咲く街

*この物語はフィクションです。

階段のすぐそばに、
白いユリが咲いている。
「こんな所にユリが咲いてるなんて珍しい。」
草木の緑、ユリの白。
そして黒い特攻服姿の死神。
そして
「何処からか種が飛んで来たんじゃないか?」
Rarry(ラリー)は階段から声を掛けた。
「そうかもしれないね。」
死神、Navy(ネイビー)は頷く。
「綺麗だね。」
Rarry(ラリー)はそっと微笑んだ。
「ところでRarry(ラリー)君、君には見えているかい?」
Navy(ネイビー)はRarry(ラリー)に尋ねる。
「うん、俺にも見えているよ。」
ユリの周りには、白い妖精が舞っていた。
「確か…ユリの花言葉は。」
Rarry(ラリー)は呟く。
「「神秘的な美。」」
Rarry(ラリー)とNavy(ネイビー)は同時に言った。

END.




09/03 11:52

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