「Navy」

ウインド・オブ・ハリス 4

*この物語はフィクションです。

「こっ、殺し屋?」
「ふむ、そうだ。
君に心当たりは無いようだけど、君は確かに殺し屋に殺されたのだよ。」
「一体誰が殺し屋に依頼を?」
「君の元恋人。
振られた腹いせに殺し屋に依頼したらしいね。」
「そんな…」
「神経をじわじわと殺していく毒薬を入れられた。
君はその苦しみで死ぬ直前の記憶を失ったようだ。
これは紛れもない真実だ。
信じる信じないは君の勝手さ。」
死神Navy(ネイビー)は紅茶を一口すすった。
「君がこれから選ぶ道は2つに1つだ。
成仏して、生まれ変わるか。
それともこのまま自縛霊となって永遠にこの世界をさまようか。
私としては成仏してくれると有り難いのですがね。」
死神はサラリと強烈な台詞を言い放った。
「決まってるわ。」
Tia(ティア)は優しく微笑むと、
「此処で永遠に様々な紅茶を淹れて、飲み続けるわ。」
と言う。
Navy(ネイビー)は困った表情をしたが、すぐに微笑って、
「たまに飲みに来ますよ。
貴女の淹れる紅茶。」
と言ったのだった。

STONES&LEAVES 林(Lin)
END.




09/01 21:21

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ウインド・オブ・ハリス 3

*この物語はフィクションです。

Tia(ティア)はNavy(ネイビー)に尋ねる。
「何で私は死んだの?」
Tia(ティア)は真っ直ぐに黒服の死神を見つめていた。
「どうやら、自分が死んだという事は分かっているらしいね。」
「えぇ、だって…
隣に私の死体が横たわっているんですもの。」
Tia(ティア)は困惑した表情で隣の席で机に突っ伏している自分の死体を見る。
青白い死体色をした自分の腕が気味悪く見えた。
「君はね、毒殺されたのだよ。
殺し屋に。」
死神は淡々と事実を告げる。




09/01 20:23

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ウインド・オブ・ハリス 2

*この物語はフィクションです。

「君は覚えていないのだね。」
突然、背後から黒い特攻服姿の奇妙な男がTia(ティア)に話し掛ける。
Tia(ティア)は身体をビクリと硬直させた。
「警戒しないで欲しい。
私の名はNavy(ネイビー)。
死神のような存在さ。
君に伝えたい事があって来たんだ。」
Tia(ティア)は黙ってNavy(ネイビー)を見つめていたが、やがてゆっくりとした動きで、Navy(ネイビー)に紅茶を淹れた。
「うん、良い匂いだ。
しかも、美味い。」
Navy(ネイビー)が褒めると、Tia(ティア)は嬉しそうにニコリと微笑った。


09/01 19:43

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ウインド・オブ・ハリス 1

*この物語はフィクションです。

夏だというのに、
熱い紅茶を飲んでいた。
『ウインド・オブ・ハリス』という名のセイロンティー。
少し、匂いはきついが、嫌いという訳ではない。
むしろ、この甘ったるい匂いが部屋中に漂うのが好きだった。
「うん、美味しい。」
彼女、Tia(ティア)は紅茶の葉が詰まった小さな袋を見つめながら言う。
Tia(ティア)は暇さえあれば、こうして紅茶を飲む程の無類の紅茶好きである。
確か、この紅茶はLin(リン)という名の店で買った。
その店は色とりどりの石と、茶を扱う綺麗な店だった。
「でも」
Tia(ティア)はふと白いカップの中の液体を見つめて呟く。
紅茶の種類に関する事はすぐに浮かんでくるが、どうしても、
「思い出せない。」
彼女は何故自分がこうして紅茶を飲んでいるのか思い出せないでいた。




09/01 19:34

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Cross.D

*この物語はフィクションです。

「そして君は殺された。
喉を刺されて、出血多量で、ね。」
黒い死神はゆったりした口調で言った。
沈黙。
そして僕は
「それから、気が付いたらここにいたよ。
新神戸駅の改札口。
出ようとしても、どうしても出られなかった。」
と言う。
「それはね、君が未練を持った亡霊になってしまったのだよ。
いわゆる、自縛霊と言ったら分かりやすいかな。」
「そして、目の前には黒い特攻服姿の君がいたんだ。」
特攻服姿の死神。
最初は疑ったが、どうやら言ってる事は本当のように思える。
彼、Navy(ネイビー)は死神だ。
「あの後、僕が死んだ後、彼女はどうなった?」
「死んだよ。」
「えっ?」
「君を刺したのを目撃した人物は沢山いた。
すぐに駅員と警官が呼ばれ、彼女は追い掛けられた。
勿論、彼女は逃げた。走ってね。
そして、彼女は死んだ。
駅の階段を踏み外して、ね。」
「…そうか。
だって彼女、ハイヒール履いていたからなぁ。」
「よくそこまで見ていたね。
普通の人なら気にもしないと思うのだが?」
「うん。僕はね、死んでも…彼女を愛してるから。」
僕はそう言って、優しく、笑ったのだった。

END.




08/27 11:07

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Cross.C

*この物語はフィクションです。

「君は知らないと思うが、彼女には双子の姉がいた。」
黒い特攻服姿の死神はそう言うと、僕は驚いてまた言葉を失った。
「双子の、姉?」
「うん、双子の姉。
姿形、顔までそっくりだった、姉。
彼女の姉は殺されたんだよ。」
「一体、誰に?」
「君の、兄、さ。」
数秒の沈黙。
「そんな、嘘だ。」
「嘘ではないさ。
幸い、殺された姉は、事故死で片付けられたけどね。
でも、殺したのは君の兄さん。間違いないよ。」
「だって、兄は…」
「うん、自殺した。
罪の意識を感じてね。」
「…」
「そして、残された妹、すなわち君の彼女は君に近付いたのだよ。」
「何の為に?」
「姉を殺した、彼と血の繋がってる弟である君を殺す為に。」
「えっ?」
「彼女はね、姉が死んだ時から人格が崩壊していたのだよ。
姉を殺した奴の全てを憎んだ。
勿論、血の繋がった君も。」
「そんな…」
「それが、現実であり真実なのだよ。」




08/27 10:46

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Cross.B

*この物語はフィクションです。

「彼女は、」
僕はその後の言葉をなかなか言う事が出来なかった。
「彼女は、どうしたのだ?」
「僕、の喉を刺したんです。
ナイフで。思い切り。」
「…ほぅ。それで?」
「刺された瞬間、鎖が切れたんです。」
「鎖とは何の鎖かね?」
「ペンダントです。
十字架の、ペンダント。」
「十字架のペンダント、か。」
「えぇ。その十字架は、思い出のものなんですよ。」
「思い出とは、彼女との?」
「そうです。彼女と2人、お揃いで買ったペンダントです。
いわば婚約指輪みたいなものですね。」
「彼女を愛していたんですね。」
「えぇ。だから、意味が分からなかった。
彼女は何故、僕を刺したんだろうって。」
「教えてあげましょうか?
何故、貴方が刺されたのか。」
黒服の死神、Navy(ネイビー)は酷く哀しそうな顔で微笑った。




08/27 10:26

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Cross.A

*この物語はフィクションです。

切れた。
鎖が、切れた。
その後すぐに、僕の意識は飛んだんだ…
「その言葉だけじゃ意味が分からないね。
僕はね、君の口から真実を聞きたいのだよ。」
僕の目の前に立つ、特攻服姿の奇妙な男は落ち着いた笑みを浮かべながら、優しい口調で言った。
「うん、自分でも意味が分からないと思う。
だって、僕にも理解不能なんだ。
僕はただ、愛しい彼女を迎えに行くために新神戸駅に行っただけなのに。」
僕はひとしきりうめくと、その場で膝をつく。
「落ち着いて。
情況を分かりやすく話しよう。」
黒特攻服の死神は、天使のような笑顔を浮かべた。
「君は、3年振りに海外から帰ってきた婚約者を迎えに、新神戸駅まで向かった。
そうだね?」
「あぁ、慌てて用意して、自分の車に飛び乗ったよ。
道路では時速120kmでブッ飛ばしたよ。」
「それで?」
「駅に着いて、車を有料駐車場に止めた。
車を降りた時、ふと空を見上げた。
月がとても綺麗だったのを覚えているよ。満月だった。」
「うん。」
「エスカレーターで上に上がり、彼女を探した。
彼女は丁度、新幹線から降りて改札を通る所だった。」
「それから?」
「彼女はにっこり笑って僕に手を振ってから…」
僕は、沈黙した。




08/26 23:17

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人が人でなくなる瞬間

*この物語はフィクションです。

高速道路を疾走っていた。
真っ直ぐに伸びているコンクリートを見つめる。
今、俺の横には刃物を持った男が座っている。
そもそも、俺は一人で週末のドライブをしていた筈だ。
くそっ、何で俺がこんな目に…
内心毒づきながら、アクセルを踏み続ける。
助手席に座る男はナイフをちらつかせながら、ブツブツと何かを呟く。
「る。死んでやる…」
俺はその言葉を聞いた瞬間、『死ぬなら一人で勝手に死んでくれ』と思ったが、口には出さなかった。
言えば確実に殺されるからだ。
「もっとスピードを出せ!」
「勘弁してくれぇ…」
「死にたいのか?!」
「チッ、分かったよ。」
俺は渋々アクセルを踏み込む。
こうして気違い男と地獄のドライブを始めて2時間は経過している。
そもそも、何で俺がこんな事をしているんだ?
「もっとだ。もっとスピードを出せぇっ!」
何で俺がこんな奴の言う事を聞かなければならないんだ?
募る不安と疲れと苛々。
「死にてぇのか!」
男は開いている窓から身を乗り出す。
キレた。
「るせぇ。死ぬなら勝手に死んでくれ。」
俺は一番左に車線変更すると、車を左の壁にぶつけた。
生暖かい血しぶきか俺の左半分に降りかかった。
そうさこれは正当防衛。
すぐに警察に駆け込み、男にナイフをつきつけられ、驚いてハンドル操作を誤り、車をぶつけた。その時丁度男が車の窓から身を乗り出していたと言えば疑われる事はない。
完全犯罪の出来上がりだ。
「果たしてそれは成功するのかね?」
驚いて振り向く。
誰も居ない筈の後部座席には、黒服の男がいた。
「余所見をしていると…」
男が言い終わらない内に、轟音が響く。
「事故ってしまうよ?」
男の声が頭の中に微かに聞こえた。
それきり意識は戻る事は無かった。
……。

END.




08/21 15:52

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塔の上の最後の君


それから。
「随分変わったものだな。」
黒い特攻服の死神、Navyは、様変わりした町の真ん中で、塔を見上げる。
あれから。
「もう50年以上経つんだな。」
戦争は悲しい。
戦争は哀しい。
あの青年の残したものは何だったのだろうか。
Navyの横を、2人の女性が会話しながら通り過ぎる。
「ねぇねぇ、侑子知ってる?
あの塔は戦争の前からあったのよ。」
「知ってる知ってる。
戦後、ひとりの青年が塔の上で町を見守っていたって話も残っているのよね。」
「あの塔には、戦争の絵等が展示されているらしいわ。」
「見に行きましょう。」
女性2人はゆっくりした足取りで塔に向かう。
「意味の無いものなどこの世に存在しないのだよ。」
Navyは誰にともなく呟き、塔を見上げた。

END.


08/16 07:34

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