小説

風習

*この物語はフィクションです。

「更にもうひとつ、“嫁姑の対立型”がある。
姑と仲の悪い意地悪な嫁が、夫を使って姑を山に捨てさせた。
夫は老母を山中の小屋に閉じ込め、火をつけて逃走する。
老母は火から逃げ出し、火に寄って来た小鬼を脅して打出の小槌を手にいれた。
老母は小槌のお陰で安楽に暮らしていると、
この事を知った意地悪な嫁が老母を真似て小屋に入り、火をつけて焼け死ぬ、といった話。
この対立者が真似て失敗するパターンはあまり記録は無く、知ってる人は少ない。
そもそも、老人を捨てるといった風習そのものは日本では無かったとされている。
しかし、飢饉の際には病人・老人・子供が切り捨てられていった事や、60歳で隠居という習慣の地域があった事等から、話を信じるようになったのかもしれないね。」


07/12 19:57

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民話の枝分かれ

*この物語はフィクションです。

「とまぁこんな感じの昔話だったかな。」
マサは言う。
「うん、そんな話だったと思うわ。」
ユウは頷く。
「確か、この『姥捨て山』にはいくつか話のパターンがある。」
俺は言った。
「ひとつは“難題型”で、マサが話した通り、
かくまわれた老人の知恵や経験で難題を解き、
やがて老人を捨てる風習が中止となるもの。
また、難題が無く、老人を連れて帰りかくまう所で終わる前半だけの話もある。
この前半だけの話は、老人が目印に木の枝を折る場合が多い事から、
“枝折り型”と言われ、
各地に伝説として今日まで伝えられて来た。
“もっこ型”というタイプも存在する。
老いて体の弱った親を息子夫婦が嫌って、もっこに入れて捨てに行き、山中でもっこごと置き去りにしようとすると、ついてきた幼い子供が、『もっこは持って帰ろう。父さんを捨てる時に使うから』と言い、息子夫婦は『いずれ我が身』と気付き、反省して老人を連れ帰るといった型。」


07/12 19:51

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姥捨て山

*この物語はフィクションです。

【姥捨て山】
60歳になった人は全て山に捨てる。
とある国の殿様はそんな御触書を出しました。
逆らった者は当然、死刑です。
皆、死刑を恐れて、『姥捨て山』と呼ばれる山に老人を捨てて行くのでした。
ある男も死刑を恐れ、60歳を越えた母親を背中におぶって嫌々ながらも『姥捨て山』に行きました。
『姥捨て山』に向かう道中、老母は道にぬかを撒いています。
そうこうしている内に、『姥捨て山』の山奥に到着しました。
別れを告げた後に、老母は言います。
「道中ぬかを撒いたのは、お前が道に迷わず家に帰れるように付けた目印だよ。
目印を見てちゃんと帰りなさい。」
親心を知った息子は、優しい母親を置き去りにする気にはなれず、こっそりと母親を連れて帰ると、家の床下に穴を掘って、老婆をかくまいました。

老婆を連れ帰って数日経ったある日。
殿様から言いつけを出されます。
『灰縄(あくなわ)を持って来い。』
男はこの難題に困って悩んでいると、母親は
「縄を固くなって、そっと焼け」と教えます。
この難題を解いてから数日経ったある日。
また言いつけを出されます。
『曲がりくねった穴のある玉に、糸を通せ。』
男はまた母親に助言を貰って見事に解決して見せました。
そしてそれからまた数日が経ちました。
殿様からの言いつけです。
『打たなくても勝手に音が鳴る太鼓を持って来い。』
悩む男に、母親は助言します。
「蜂の巣に薄い紙を貼れ。」
さて、男は殿様の所に出向き、蜂の巣に薄い紙を貼った、『打たなくても勝手に音が鳴る太鼓』を見せました。
太鼓の中では蜂が外へ出ようと羽の音を響かせます。
確かに、打たなくてもわんわんと音の鳴る太鼓です。
不思議に思った殿様は、太鼓を叩いてみました。
すると、薄い紙が破れ、中から沢山の蜂が飛び出し、殿様を刺し殺してしまいました。

それ以来、60歳を過ぎた人は全て山に捨てる事はなくなり、老人をいたわるようになりました。


07/12 15:36

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親殺し

*この物語はフィクションです。

『以上の点から、被害者の息子が殺害に及んだと見て、調査を進めています。』
マサはテレビを見て呟く。
「親殺し、か。」
「物騒な世の中になったわね。」
ユウは表情を曇らせる。
「今では、親なんて邪魔者扱い。
すぐに老人養護施設に入れたがる。」
「まるで昔話で言う『姥捨て山』ね。」
「嗚呼、そうだな。」
「確かその話のあらすじって、」
マサは語り出す。


07/12 14:03

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TV.

*この物語はフィクションです。

日が昇る。
日が沈む。
君が居る。
君が居ない。
貴方が棄てたものは何?
貴方が棄てるものは何?
大事なものは
いつも見えない。

いつもの様に、昼近い時刻に事務所に顔を出す。
「遅い。」
ユウ姉さんとマサはほぼ同時に俺に言う。
いつもと同じ、いつもの生活。
テレビの電源を入れる。
ワイドショーやニュースの時間。
どうせ今日も依頼は無い。


07/12 13:45

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事件の終末

*この物語はフィクションです。

そうして、2度と復讐はしないと葉碧は誓約書を書き、事務所から去って行った。
「しかし、気になるな。」
俺は呟く。
「ギンという男は、俺の過去を知っていた。
ギンに関する情報は皆無だが、いつかまた会える。」
まぁ、あくまでも予感だがね、と言って俺は微笑った。

そうして、事件は一応幕を閉じた。


07/12 10:54

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悲しみの色は、青

*この物語はフィクションです。

泣いてる。
心が――――泣いてる。
ユウは葉碧の顔を見つめる。
あまり事情は把握出来ていないけど、『悲しい』という感情だけは見える。

それは、一種独特なユウの特殊能力である。
彼女の目からは、葉碧から発せられる、オーラの様なものが見えていた。

悲しみの色は、青。
深い、深い
Navy blue.
悲しい、哀しい。

「妹さんは、こんな復讐なんか望んでいない。」
沈黙。
誰もが沈黙している。


07/12 01:08

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俺にはもう、何も無い

*この物語はフィクションです。

「本当は、全員殺されてもおかしくなかったんですよ。」
マサの言葉。
長く重い沈黙。
「葉碧さん。どうか、もう復讐なんて事はしないで下さい。
復讐っていうのは連鎖していくのですよ。
仮に、復讐が成功したとして、次は貴方が殺されるかもしれないのですよ?
貴方以上の憎悪を心に宿して。」
俺は葉碧に優しく言った。
だが、葉碧は
「妹がいない今となっては、もうどうなっても構わない。
俺にはもう、何も無い。」
と何処か冷めた口調で言う。
「そうですね。貴方にとっては、自分の命など、どうでもいいかもしれません。
しかし、妹さんは悲しみますよ。」
ユウは言った。


07/12 00:54

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命拾い

*この物語はフィクションです。

「妹を、彼奴に殺された。
警察では事故として処理された。
だが、彼奴が殺ったんだ。
ギンは俺に言ったんだ。
『お前の妹は俺が殺した』と。
だから彼奴を探して殺してやろうと思った。
ただ、それだけの事だよ。」
葉碧は何処か寂しげに呟く。
「ギンは一体何者なんだろう。」
俺は首を捻った。
「分からない。
腕の良い殺し屋という噂しか知らない。」
葉碧は言い放つ。
「殺し屋という話が本当だとしたら、葉碧さん、貴方は命拾いをしたという事になりますね。」
ユウは言った。


07/12 00:28

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質問

*この物語はフィクションです。

「まぁ、これはあくまでも俺の予想だがな。駄目で元々、彼に訊いてみよう。」
俺はマサに言う。
丁度その時、葉碧とユウは目を覚ました。
「こんにちは、葉碧さん。
いや、もう外は暗くなったから今晩は、かな。」
ユウは訳が分からずに困惑していたので、さっきと同じような内容で説明した。

「で、今に至るんですが、葉碧さん。
貴方何か隠してませんか。」
俺は穏やかな微笑を浮かべて、葉碧に尋ねる。
「貴方はタイミング良く出てきましたが、俺達の様子を見ていたとしか考えられません。
そもそも、この仕事の報酬は高額だった。
この仕事には何か理由があったんじゃないですか?」


07/11 21:02

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