小説

幻想.

*この物語はフィクションです。

「お前が本当に我妻 鏡嘩と言うのなら、記憶喪失になる前のお前は俺と同じという事になる。」
ギンはボーッと窓の外の景色を眺めながら言う。
「同じ、とは?」
数秒間の沈黙。
「いいか、記憶喪失前の我妻 鏡嘩は、殺人鬼だった筈だ。」
「馬鹿な。」
「本当の話だ。」
「俺が殺人鬼だったという証拠はあるのか?」
ギンは無表情で俺を見つめる。
俺の質問には答えない。
ギンは俺に向かって訊く。
「我妻よ、命は惜しいか?」
「当たり前だ。命は惜しいに決まっている。
もう、あの頃の俺は何処にも居ない。
探偵という肩書きを持った今こそが真実。
殺人鬼なんて過去をそう易々と信じる程、俺は狂っちゃいない。
それは勘違いという名の幻想だ。」


07/09 00:44

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My name.

*この物語はフィクションです。

「俺の名前は我妻 鏡嘩(あずま きょうか)だ。」
「我妻、か。やはりな。」
「俺の何を知っているんだ。」
ギンは俺を見つめて言う。
「お前、本当に我妻か?」
「嗚呼。」
紛れもなく、俺は我妻 鏡嘩という名の探偵である。
他の何者でもない。
「お前は誰だ。」
ギンは再度俺に問いかける。
「我妻、鏡嘩。」
確かめる様に答えた。


07/08 23:45

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Your name.

*この物語はフィクションです。

3人をソファーに寝かせ、一段落した俺は、相変わらず何を考えてるか分からないギンを見つめる。
葉碧はピクリとも動かない。
「なぁ、探偵。」
ギンは俺に話掛けた。
「何だ。」
俺はやや緊張した面持ちで、ギンに返事をする。
「さっき、思い出した。」
「何をだ。」
「記憶喪失になる前のお前の事。」
ギンはフッと微笑っている。
「何か、知っているのか?」
「嗚呼。
ところで探偵、お前の名前を訊いておこうか。」


07/08 18:01

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静寂と沈黙

*この物語はフィクションです。

静寂と沈黙。
周りには3人の人間が倒れている。
「殺したのか?」
俺は一言だけ呟く。
ギンは相変わらずニタニタ笑っている。
何を考えてるか分からない。
得体が知れない。
「探偵、このままでは目立つし、騒ぎになりかねない。
事務所に上がって話をしたほうが良いと思うが?」
ギンはそう言うなり、葉碧とマサを持ち上げ、勝手に事務所へと上がって行った。
俺は慌ててユウを背負って事務所へと向かった。


07/08 11:04

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See you, in hell.

*この物語はフィクションです。

「貴様、絶対に許さん。」
依頼人の男、もとい葉碧はギンにナイフを振りかざす。
「止めるんだ!」
俺は叫んだ。
ギンはニッと嫌な笑みを浮かべて言う。
「See you, in hell.」
素早く葉碧のナイフを蹴り飛ばし、強烈なアッパーを喰らわす。
ドサリ、
重たい物体が地面に落ちる音が響く。
葉碧は倒れたまま、ピクリとも動かなくなった。


07/08 10:51

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嫌悪感

*この物語はフィクションです。

依頼人の男は、懐からナイフを取り出す。
「おい、銀髪。
葉碧 紗智(はみどり さち)という人物を記憶しているか?」
とギンに問う。
ギンは、依頼人の男をチラリと見ると、
「嗚呼、確かそいつは俺が」
【殺した女だな。】
ギンはニヤリと歪な笑顔を浮かべた。
俺の腕に一斉に鳥肌が走った。

何とも言えない嫌悪感が心の中に渦巻いている。


07/07 23:08

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Jack Knife.

*この物語はフィクションです。

「そこまでだ。」
突然横から聞こえる声。
依頼人だった。
「探偵、よく見付けてくれた。後ほど報酬を渡そう。」
「ちょっと待って下さいよ。
まだこっちは会話の途中です。」
俺は依頼人に言う。
「探偵さん、貴方の仕事はもう終わった筈。」
「しかし、」
「黙れ、と言っている。」
依頼人は尖ったナイフの様に鋭い眼光で睨みつける。
そして。


07/07 18:46

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俺の過去を知っているか

*この物語はフィクションです。

「何をする気なんだ。」
俺は呟く。
「別に何もしないさ。
ただ少し訊きたい事があってな。」
銀髪の男、もといギンは言う。
「お前、以前何処かで会ったか?」
俺は硬直した。
「分からない。記憶が無い。」
「記憶に無いんじゃなくて、記憶が無いのか?」
「そうだ。探偵になる前の記憶は一切無い。
記憶が無いから俺は自分の過去を探しているんだ。」
「そうか。」
「俺の過去を知っているか?
例えどんなに些細な事でもいい。
知っていたら教えて欲しい。」


07/07 06:43

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君は俺と同じ

*この物語はフィクションです。

ドクン。
ドクン。
心臓の音が聴こえる。
不快な冷や汗が流れ落ちる。
ぼやけた景色が鮮明になって行く。
「君も――なんだね。」
何を言っているのか分からない。
目の前には血の海。
何故、一体何が。
何なんだ?
「君は俺と同じ――なんだね。」
「っ…!」
俺は声にならない声で何かを呟く。
「残念だよ。お別れだね。」
そして
「さよなら――Heaven.」
昔、何処かであの銀髪を見た事がある気がした。


07/06 01:24

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Silver.

*この物語はフィクションです。

「噂話って言っても確証の無いものだ。
言う必要は…」
俺は呟く。
その呟きを遮り、銀髪の男は言う。
「銀髪の人物は伝説の殺し屋で、必ず仕事をやり遂げるそうだ。」
ニタリと微笑う。
そして言葉を続ける。
「教えてやろう。
噂話は事実だ。」
俺はそのまま沈黙する。
目の前にいる男は何を言いたいのだ?
何をする気なのだ?
全く予想がつかない。
「俺の名前は――ギン。
何処にでもいる殺し屋だ。」


07/05 22:48

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